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【形成外科医が解説】ホクロを自分で除去するリスクと「最悪の事態」

ほくろ
2023.06.02.金曜日
ほくろ | 2023.06.02.金曜日

今回は、「ホクロやイボを自分で除去するリスクと最悪の状態」というテーマでホクロを自分で除去するリスクについて解説していきます。

最近、ホクロイボ除去ペンやスポットレーザー除去ペンなど、一般の方が普通に買えるホクロ除去などに使える機械が売られています。
このような機会が普及しており、当院にも問い合わせがくることが増えてきており、今回はこのようなテーマでお話することになりました。ご自分で除去することには大きなリスクが隠れています。

ホクロイボ除去ペンスポットレーザー除去ペンの使用を考えている方はぜひ参考にしてみてください。

ホクロイボ除去ペンの普及

私も小さい頃から顔にいくつかホクロがあり、嫌で嫌で仕方がありませんでしたので、顔にホクロがある方の気持ちはわかります。
世の中には顔にホクロがあることが嫌な人が多いので、ホクロイボ除去ペンなどのように一般の方でも使える器具が売られているのだと思います。

特に顔のホクロが多い方やホクロが小さい方が使いたくなる気持ちはよく分かります。
数多くあるホクロの除去や小さいホクロの除去のために美容クリニックなどで高いお金を払うのに抵抗があるというのも理解はできます。

ただし、市販の器具でホクロ除去などを行うことには一定のリスクがともないます。
一歩間違うと、高リスクの副作用や副反応などが起こる可能性があります。
ここからは、その危険性について解説していきます。

リスクその1:医者に診てもらえない

まずは自分でホクロを除去した場合に一番困ることから説明していきます。
ホクロイボ除去ペンなどの市販の器具でホクロを除去し、副作用や副反応が起きた場合には、医師には診てもらえないことが多いのです。
これには保険が深く関わっています。
どういうことかと言いますと、クリニックや医療機関で行っている診療や治療というのは原則保険診療になります。
保険診療の治療対象というのは病気や怪我になります。
自身で処置をして、何かが起きた場合には保険適用にはなりません。
一般の保険診療されている病院に治療をお願いしても対応していただけないということになります。
ですから、美容医療として自費診療になるかと思います。
中には治療をしてくれる医師もいるかもしれませんが、副作用や副反応を作った原因が患者様側にあるのでなかなか治療をしてくれる医師は少ないかと思います。
これが1番のリスクだと思います。
繰り返しますが、自分でホクロを除去した場合にはその後に何かあった場合に頼れる病院が少ないと認識しておいてください。

リスクその2:傷痕の肥大化

2番目のリスクは傷痕が残ることです。
医療機関でほくろ除去を慎重に丁寧に行ったとしても最小限の傷跡ができますので、自分でホクロイボ除去ペンで処置するとなおさら傷痕ができるリスクが高くなります。むしろ、その傷は残りやすいといって良いでしょう。

例えば、切って切除したとしても線状の傷痕が残りますし、レーザーで削っても丸い傷痕(瘢痕)ができます。

市販のものの切除するメカニズムがどのようなものかにもよりますが、除去ペンなどでホクロを除去する場合にはおそらく焼いているので、その傷痕(瘢痕)ができるはずです。

形成外科や美容クリニックなど医療機関の医師は、皮膚にレーザーや切除などをした場合にどのような経過をたどって、どのような傷痕ができるのかということを把握できています。
例えば、形成外科医ならば、頬などの首から上の部分は血行が良いので、皮膚の再生が早く傷が治りやすいということを知っています。
そして、顔の中でも例外的に鼻の下だけは傷が治った後に赤く膨らむ傾向にあることなども知っています。その他にも、顔だけではなく、手足などでは手の甲が鼻の下のように赤く膨らむ傾向にあること、肩や背中、胸などではケロイドという元の傷よりも膨らむ場合があるなどの知識があります。

このような知識があることはホクロ除去をする場合にはとても大事になってきます。
体や顔にあるホクロを除去しようと、2000〜3000円程度のホクロイボ除去ペンを買ってきて、ホクロを焼いて取った後に患部が大きく膨らんできたら・・・知識がないとびっくりして、うろたえてしまうことでしょう。

もともとは1〜2mmのホクロだったのが、処置後には5mm〜1cmのケロイドなどになる可能性だってあるのです。

知識があれば、ホクロ除去後にどのような傷痕ができるかが分かるはずですが、知識がなければ何も分かりません。自己流のケアで放置してしまったら、もっと最悪の状態になる可能性もあります。つまり、自分でホクロを除去するということは大きなリスクを抱えることになります。

私たち形成外科医に任せていただければ、「どこにあるホクロだと傷痕がどうなるのか」というリスクまで明確にと説明した上で、正しく安全に配慮した処置を行うことができます。

そして、副作用や副反応のリスク、もしも副作用が起きた場合にはどのような対処方法があるのかも事前に説明した上で、納得していただいた上でホクロ除去の処置を行います。

安易に簡単で安いからといってご自身でホクロ除去を行うと、予期していなかった傷痕を作り、結果的に後悔する可能性が高いためおすすめはできません。

リスクその3:再発

3つ目のリスクは、ホクロの再発です。
私たち形成外科医が処置を行った場合であっても、ホクロの再発のリスクはあります。
切って除去する場合にはほとんどありませんが、レーザーによって除去した場合には稀にホクロが再発することがあります。

なお、当院ではホクロの再発に配慮するために、通常のホクロ除去のCO2レーザーと一緒にQスイッチルビーレーザーのノーマルモードにてホクロの除去を行います。
そうすることでホクロの再発率を下げることが可能です。

美容クリニックではこのようにそれぞれのクリニックごとに、ホクロの再発率を下げる試みを行っているはずです。
そのため、形成外科や美容クリニックでホクロを除去した場合には、再発しにくいように配慮した治療を受けられます。

その一方で、自分で市販のホクロイボ除去ペンなどで除去した場合には、そのような工夫もできないので当然再発のリスクが高くなり、処置がまだらになったり、均一に削ることができないので傷痕もできてしまいます。

また、麻酔が使えないため、痛みを我慢しながら除去することなども傷痕や再発へのリスクにもつながります。
除去と再発を繰り返すだけになってしまうことも考えられますし、何度も傷痕を刺激してしまうとガンのリスクまで上がってしまいます。

リスクその4:感染症

4つ目のリスクは、感染症になることです。

先ほども申し上げたように、顔の場合には血行が良いこともあり、感染症のリスクはそれほど高くないのですが、手足、特に手の先、足の先になってくると血液循環も良くないので感染のリスクが高まります。

自分でホクロを除去する場合には、美容クリニックなどのような清潔な環境で行っているわけでもなく、除去面がまだらな状態などになるため、傷口に細菌が入ってしまい、感染を起こしてしまいます。

そして、感染が起きてしまうと蜂巣炎(蜂窩織炎,ほうかしきえん)になり、手足全体が腫れてしまう場合があります。

衛生的に行えばリスクは下がりますが、自分でホクロ除去を行った場合にはこれらの感染症のリスクも上がってしまうのでおすすめできません。また、感染が起きた場合には自分では処置することができません。

以上の安全面からも、形成外科や皮膚科のクリニックなど医療機関で除去するのがおすすめです。医師の処置のもとであれば、感染症になるリスクを抑えられ、なった場合にも適切に対処できます。

リスクその5:ガン化

5つ目のリスクは、ガン化です。
ホクロ除去の相談に来られた方にダーモスコープという検査法で観察して、悪性でないと判断されたとしても、500〜1000人に1人の割合で悪性が混じっている方がいます。

ですから、私たち形成外科医ですら、機械をつかって拡大して確認しても悪性であるかどうか判別できないことがあるのです。当然、知識のない素人の方が目で確認したレベルではガンかどうかは分からないのです。

つまり、市販のホクロイボ除去ペンのような自己流の処置では、ガン化していることを知らずに傷つけて刺激してしまう可能性があるということです。

最悪の場合、確率は低いですがガンが大きくなったり、転移したりといったことなども考えられます。ガン化の観点からも自分でホクロイボ除去ペンで除去するのは危険です。

形成外科医から見て怪しいなと思うホクロの場合には、最初からレーザーによる除去ではなく、切って切除することを提案します。
レーザーで削るにしても、ホクロの一部を取り「病理検査」することが可能です。
もしくは、一時的に経過観察をして、その経過によっては検査をするように提案します。
当然、クリニックなどではこのようなリスクヘッジ(リスクを避ける試み)をした上で、治療のご提案をします。

まずは安易に自己流の処置を行う前に、ホクロ除去の相談に来ていただけたらなと思います。
もちろん、ホクロをすべて切除するような提案をするわけではありません。ホクロの状況をよく判断した上で、切除の提案をしていきますのでご安心ください。

シミ除去にホクロイボ除去ペンを使うのは?

ここからはホクロイボ除去ペンのシミへの適用について解説していきます。
最近では、市販のホクロイボ除去ペンをシミの除去に使っている人が増えてきているようです。
患者様からも「ホクロではなくシミであれば使っても大丈夫ですか?」という質問を受けることがあります。もちろん、理論上はホクロイボ除去ペンをシミの除去に使うことはほぼ不可能です。

形成外科医からみてもテクニック的にかなり難しいと考えます。
なぜかと言いますと、シミというのは皮膚表面よりは深いところに色素があります。
美容クリニックでは皮膚の上から黒い部分のみを刺激できるレーザーがありますが、ホクロイボ除去ペンのような器具で皮膚の下の黒い部分だけを除去するのは難しいと思います。

ただし、例外もあります。
それが、ホクロとシミの間のような組織である、「脂漏性角化症」です。
脂漏性角化症は、「老人性イボ」と呼ばれ、ホクロとイボの間に分類されるものです。
脂漏性角化症であれば、ホクロイボ除去ペンで除去できるかもしれませんが、これまで話してきた自分でホクロを除去する場合と同じく、あらゆるリスクが考えられます。

万が一、シミをホクロイボ除去ペンで除去できたとしても、熱量が多かった場合に「炎症後色素沈着」という刺激により、さらにシミが発生する可能性があります。適切な熱量を加えてない場合には、この「炎症後色素沈着」のリスクが高くなるため、元のシミよりも濃くなってしまう可能性すらあります。

いずれにしろ、少なくともシミをホクロイボ除去ペンで除去するのはほぼ不可能ですので、おすすめはできません。

ホクロは医療機関で適切な方法で除去を

ホクロイボ除去ペンとスポットレーザー除去ペンでホクロ除去を行うリスクと、シミ除去に使った場合のリスクについて合わせてご紹介させていただきました。

副作用が起きても自己責任となってしまいますので、使用はおすすめできません。
ホクロを除去するかどうか迷っている場合には、自分で除去するのと比べれば料金は高いかもしれませんが、美容クリニックや医療機関などに相談することをおすすめします。
ホクロの状態を医師が診察した上で、除去すべきかどうかについても適切な提案を受けることができます。ぜひ、自己流のケアで後悔する前に、一度ご相談ください。

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